子育て世帯や若者夫婦世帯が、家づくりやリフォームでお金をもらえる「子育てグリーン住宅支援事業」。でも、「どんな商品が対象になるの?」と、具体的にイメージできない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、子育てグリーン住宅支援事業の補助金がもらえる対象商品や設備を、新築とリフォームに分けて徹底解説します。
※具体的な対象商品が気になる方のために、公式サイトの商品検索ページのリンクをそれぞれの商品項目へ貼ってあります。
この記事を最後まで読んで、家づくりの計画段階で知っておくべき商品の機能や選び方を理解し、賢くお得に理想の住まいを手に入れましょう!
主婦インテリアコーディネーター


子育てグリーン住宅支援事業は、住宅の省エネ性能を向上させることを目的とした国の事業です。この事業は、新築とリフォームの両方が補助金の交付対象となりますが、それぞれで対象となる商品や設備、住宅の定義が異なります。
- リフォーム:特定の工事や設備の設置が対象となります。例えば、窓の断熱改修や、エコ給湯器の設置などが該当します。
- 新築:高い省エネ性能を持つ住宅そのものが対象となります。ZEH(ゼッチ)や認定長期優良住宅など、国が定める基準を満たした新築注文住宅や新築分譲住宅の購入が対象です。
この記事では、リフォームで具体的にどのような商品が対象になるのか、新築住宅はどのような住宅が対象なのかを詳しく見ていきましょう。まずは申請に必須な工事である、開口部・外壁の断熱改修・エコ住宅設備の設置から紹介します。
必須工事とは?;この3種類の工事を行っていない場合は、補助金申請をすることができません。

リフォームで補助金を受け取るには、家全体の断熱性能を向上させる工事が必須となります。ここでは、特に熱が逃げやすい場所として重要な窓やドアといった開口部のリフォームで補助金がもらえる対象商品をご紹介します。
窓の断熱改修で選ぶべき対象商品と機能
窓は、住宅の熱の出入りが最も多い場所と言われています。窓の断熱性能を高める商品を設置することで、冷暖房効率を大幅に改善し、光熱費を削減できます。
- 二重窓(内窓): 既存の窓の内側にもう一つ窓を設置工事する商品です。窓と窓の間に空気層ができることで、高い断熱機能を発揮。既存の窓を壊す工事が必要なく、比較的安価で短期間で設置できるのがメリット。LIXILの「インプラス」やYKK APの「プラマードU」などが対象商品として知られている。(対象工事:内窓設置)
- 複層ガラス(Low-E複層ガラスなど): ガラスを二重に重ねて、間に空気やアルゴンガスを封入した商品。特に「Low-E複層ガラス」は、ガラスの片面に特殊な金属膜がコーティングされており、熱の出入りを大きく抑える機能を持つ。リフォームの際は、既存のサッシを活用してガラスだけを交換する工事も可能。(対象工事:外窓設置/ガラス交換)
玄関ドアの断熱改修で選ぶべき対象商品
玄関ドアも、意外と熱が逃げやすい開口部です。補助金の対象となるのは、高い断熱機能を持った玄関ドアへの交換工事です。既存のドア枠を活かしたカバー工法工事であれば、大掛かりな工事が必要ありません。
デザイン性の高い商品も豊富にあり、家の顔である玄関をリフォームしながら、省エネ性能を高めることができます。
※対象工事:玄関ドア交換
補助金対象商品のリフォーム工事
こういった断熱性の高い窓や玄関ドアの商品は、【開口部の断熱改修】リフォーム工事の、それぞれ以下のリフォーム工事に当たります。
イ.ガラス交換 | ロ.内窓設置 | ハ.外窓交換 | ニ.ドア交換 | |
---|---|---|---|---|
工事内容 | 1枚ガラス⇨複層ガラスへの交換 | 既存窓の室内側に新たに窓を設置 | 既存窓を取り外して、断熱性の高い窓を設置 | 既存ドアを取り外して、断熱性の高いドアを設置する |
備考 | ※ドアのガラス部分のみの交換は対象外 | ※性能と設置方法に基準あり | ※カバー工法・はつり工法のどちらも対象 | ※ガラス窓付きのドアのガラス部分のみの交換は対象外 |
事業者の確認 | ガラス交換の対象基準を確認する | 内窓の対象基準を確認する | ・窓のカバー工法の基準 ・窓のはつり工法の基準 | ・ドアのカバー工法の基準 ・ドアのはつり工法の基準 |
対象商品を{メーカー名・商品名・品番}検索する | ガラスの対象製品 | 内窓の対象製品 | 外窓の対象製品 | 玄関ドアの対象製品 |
より高性能の開口部の断熱改修の場合は、「先進的窓リノベ」事業で申請したほうが補助金額が高い場合があります。(ただし、同じ窓の工事で子育てグリーン事業と窓リノベの両方へ申請することは不可)

細かいところは工事をお願いするリフォーム業者に確認してもらってくださいね。
開口部を断熱しても、外壁の断熱性能が低くては断熱効率は今一つ。そこで、壁の断熱改修も補助金対象となります。
断熱改修は、断熱材の性能や断熱材の使用量などによって補助金の出る出ないや、補助金額が変わります。
外気に面した壁以外ですと「部分断熱」となり、さらに断熱基準が厳しくなりますのでご注意ください。
部分断熱とは?:1階と2階の間の床部分(1階の屋根)。住居の中の部屋と部屋の間の壁部分。

断熱性能のチェックも難しいので、リフォーム工事屋さんにお願いでOKです。

断熱改修と合わせて行えるリフォームが、エコ住宅設備の設置です。ここでは、日々の生活で使う設備の中から、補助金の対象となる商品や機能を詳しくご紹介します。
高効率給湯器の対象商品
給湯器は、家庭のエネルギー消費の約3割を占めると言われています。高効率給湯器に交換することで、大幅な省エネ効果が期待できます。
- エコキュート: 大気の熱を利用して効率的にお湯を沸かすヒートポンプ給湯機です。主に夜間の安い電力を利用してお湯を作るため、電気代の節約につながる。
- エコジョーズ: 従来の給湯器では捨てていた排気熱を再利用して水を温める機能を持ったガス給湯器です。給湯効率が高いため、ガス代の節約につながる。
- ハイブリッド給湯器: 電気のヒートポンプとガスの高効率給湯器を組み合わせた商品です。互いのメリットを活かし、高い省エネ効果を発揮する。
その他のエコ住宅設備の対象商品
上記以外にも、水の使用量を減らしたり、快適性を高めたりする商品も補助金の対象になります。
- 節水型トイレ: 少ない水量で洗浄できる機能を持ったトイレです。TOTOの「ネオレスト」やPanasonicの「アラウーノ」などは掃除しやすい機能もあり、より補助金額がアップします。各メーカーから様々な商品が販売されている。
- 高断熱浴槽: お湯が冷めにくい断熱性能を持った浴槽です。追い焚きの回数を減らすことができ、ガスや電気の消費を抑える。
- 節湯水栓: ハンドルの中央で水が出るよう設定されている水栓です。無意識にお湯を出してしまうことがなくなり、ガスや電気の節約につながる。
- 蓄電池:太陽光などによって作り出した電気を無駄なく使用するために、一旦電池へ溜めて置くシステムのこと。
※定置用リチウム蓄電池のうち、一般社団法人環境共創イニシアチブにおいて令和4 年度以降登録・公表されている蓄電システムであることが基準となっています。
※「エコ住宅設備の設置」について詳しく知りたい方はコチラの公式サイトへ>>>

断熱やエコ支援の工事以外にも、暮らしの快適性を高める商品も補助金の対象となるもがあるので紹介します。ただしここからは「任意工事」となり、先に紹介した「必須工事」と同時申請のときだけ、任意で申請できる工事となります。
子育て世帯を応援する家事軽減設備
子育て世帯の家事軽減によるエネルギー消費は多大なもの。未来のために少しでも親御さんの負担を減らし、家事軽減することで、結果、エネルギー消費を減らすことに繋がります。
- ビルトイン食器洗機:家事を軽減し、電気代や水道代が減ります。結果的にエネルギー消費も抑えます。
- 掃除しやすいレンジフード:掃除がラクになり、大がかりなクリーニングなどが要らなくなります。キレイに保つことで吸い込み力が落ちないため、電気代の節約にもなります。
- ビルトイン自動調理対応コンロ:コンロの自動調理機能が家事を軽減します。センサー付のガスコンロやIHコンロ使用することで、無駄なガスや電気使用が無くなります。
- 浴室乾燥機:浴室乾燥機を使用することで、家事を軽減します。お風呂の換気と衣服の乾燥を同時に行えるため、結果エネルギーの消費を抑えます。
- 宅配ボックス:共働き世帯が増えているため、不在時にも荷物を受け取れる宅配BOXは家事軽減の一環ととらえます。
子育て世帯の防犯性・防音性向上とその他の世帯の防災性向上商品
他にも任意工事には、子育て世帯を応援するための防犯性アップや防音性アップ、一般の家庭では防災性の向上などでも対象となる場合があります。
- 防犯性の高い窓やドア:防音性能の高い窓やドア、ガラスなどへ交換し子育てを安全にします。
- 防音性の高い窓やドア、ガラス:生活騒音を軽減する窓やドア、ガラスに交換することで子育てのストレスを軽減します。
- 対面式キッチン:壁付けキッチンを丸ごと対面式へ交換しリフォームすることで、小さなお子さんを見守ることのできる環境に改善します。元々対面式のキッチンリフォームや、キッチンの一部のリフォームは対象外となります。
※「対面式キッチンへの交換リフォーム」の詳しい基準は公式サイトのこちらのページで確認出来ます。
防災性の高い窓やドア:防災性を向上する窓やドアへの交換も対象となる場合があります。子育て世帯以外も対象となります。
こういった商品への交換には、厳しい基準が設けられており、それぞれの「性能証明書」が必要になります。
※「子育て応援改修」について詳しく知りたい方はコチラの公式サイトへ>>>
バリアフリー商品
バリアフリーへのリフォーム工事をして、高齢者の方が安全に暮らせるようにする商品も対象となることがあります。これらの工事は工事に対しての基準はありますが、登録商品などは特にありません。
手すりの設置・段差解消・廊下幅等の拡張:特に登録商品は無く、リフォーム前と後の段差や幅などが基準となります。
ただし、「衝撃緩和畳の設置」でバリアフリー補助金申請する場合は、登録商品を選ぶ必要があります。
衝撃緩和畳:畳床がJIS A5917:2018に規定する「衝撃緩和型畳床」と同等以上の性能を有するものを選びます。
換気性能を高める設備
住宅の換気は、カビや結露を防ぐために非常に重要です。補助金の対象となるのは、省エネ性能の高い換気設備です。
- 熱交換型換気システム: 換気の際に、室内の熱を逃がさず、新鮮な空気を取り込む機能を持った設備です。室温を保ちながら換気ができるため、冷暖房効率を損ないません。
- 換気機能付きエアコン: 部屋の空気を入れ替える機能を持ったエアコンです。省エネ性能の高い商品も多く、快適な室内環境を維持できます。

新築住宅の場合、リフォームのように個別の商品が対象になるのではなく、「住宅全体」の省エネ性能が補助金交付の条件となります。
- 認定長期優良住宅、低炭素住宅: 長期にわたり良好な状態で使用するための機能や、CO2排出量を抑える機能を持った住宅が対象です。これらの住宅を建てることで、補助金の交付を受けることができます。
- ZEH(ゼッチ): Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、高い断熱性能や省エネ設備によって、エネルギー消費を抑え、太陽光発電などでエネルギーを創ることで、年間の一次エネルギー消費量をゼロにする住宅です。補助金の上限額が特に高く設定されています。

子育てグリーン住宅支援事業の補助金を受け取るには、事業者選びが非常に重要です。
登録事業者が必要な理由
この補助金の申請は、事業に登録している事業者(建築会社やリフォーム会社)が行うことが必要です。あなたが該当する工事や設備を設置したとしても、登録事業者でなければ申請できないため、工事を依頼する前に必ず確認しましょう。
補助金の上限と注意点
補助金には上限額が設けられています。
- 新築:上限額は住宅の性能によって異なり、ZEH住宅では最大100万円。
- リフォーム:上限額は工事内容によって異なり、子育て世帯や若者夫婦世帯は最大60万円、それ以外の世帯は30万円です。
交付される補助金の予算には限りがあるため、申請期間内に予算の上限に達すると、申請が締め切られることがあります。そのため、住宅の設置やリフォーム計画は早めに立て、事業者に相談することが重要です。

子育てグリーン住宅支援事業は、住宅や設備の機能に注目することで、補助金を賢く受け取れる素晴らしい事業です。
今回の記事の要点をまとめます。
- リフォームでは、二重窓やエコ給湯器など、補助金がもらえる対象商品が明確に決まっています。
- 新築では、ZEH住宅や長期優良住宅など、高い性能を持つ住宅そのものが対象です。
- 補助金の申請は、事業に登録している事業者に依頼することが必要です。
この事業を有効活用し、ご家族がより快適に、そしてお得に暮らせる住宅を実現してください。もし、具体的な商品や設備について疑問があれば、まずはこの事業に詳しい事業者に相談してみることをお勧めします。

あなたの住まいが、もっと安心で快適な場所になりますように。
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◆リフォーム屋さんどこに相談しようか?迷ってしまったら、子育てグリーン住宅事業に登録しているリフォーム屋さんがたくさん揃う、リショップナビへ相談するのも一つの方法。要望に合ったリフォーム屋さんを紹介してくれて、事前に見積もりを貰って比較してから決められるので、いっぺんに済みますよ。